本の森019 兎の眼 灰谷健次郎(角川つばさ文庫)

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可能性を諦めないことが、教育だと教えてくれた本。

小学校の先生になろうと思っていた。
ちょうど高校2年生の夏までは。

どうして先生になりたいと思ったか?
5年生の時の担任の先生に憧れたから。

彼女は、当時かなり悪かった僕のことを最後まで信じてくれた。
想像以上に問題児だった、少年時代の自分。
そんな僕のことを信じ続けようとすることは、
きっと相当の覚悟と決意が必要だったと思う。

だから、彼女はストレスで倒れてしまった。
「大丈夫や、あんたのせいやないから」
介抱する僕に向かって、先生はそう言ってくれた。

3、4年生の担任の先生は、僕を諦めていた。
僕を目の敵にしていた。
僕もその先生を目の敵にした。
クラスを封鎖し、生徒を巻き込み、授業をボイコットしたりした。
最低の生徒だったと思う。

だから僕も、先生に対して、大人に対して諦めていた。
そんな僕に、教師という仕事の尊さや、
覚悟を決めた大人の生き様を教えてくれた先生がいたから、
僕は教師になりたいと思った。

僕と同じように、諦められてしまった子供に、
真剣に向き合える大人になりたいと、心から思った。

高校2年生の夏、
僕はやっぱりそんなに褒められた素行の生徒ではなかった(笑)
でも、大人たちや教師たちから諦められそうになっている後輩の
そばにいてあげられるような人間になりたいという気持ちだけは、
持ち続けていた。

そんなある日、可愛がっていた後輩が退学させられそうになった。
僕は、学校の理事長に直談判しに行った。
「あいつは学校を辞めたくない。努力すると言っている。
だから、もう一度チャンスをあげて欲しい。あいつはできるやつなんです!」と。

理事長は僕に言った。
「あいつは、クズだ。お前もあいつをかばって、クズになりたいか?」
僕は唖然とした。これが教育者の言う言葉か?!と。
殴りかかろうとした僕は、友人に止められた。
他の教師に言っても、やっぱり無駄だった。
僕はまだ子供で、考えも浅薄だったと思う。
でも、僕はそんな大人たちを許せなかった。

いくら自分が学校の先生になったって、
いくら自分が理想を目指したって、
組織が腐っていれば、全てが無駄になってしまう。
教師になることよりも、学校を作ることを目指そう。
単純で生意気で、世間知らずだった僕が、
高校2年生の夏に出した結論だった。

今、僕は社会人のための学校を主催している。
その時に想像していたような立派な学校ではないけれど、
でも、「可能性を諦めない」という思いだけは、
持ち続けているつもりだ。

人は、必要とされることが、必要だ。
誰にだって、可能性はある。
誰だって、輝くことができる。

そんなことを教えてくれた先生の存在は、
今でも僕の憧れであり、理想だ。

この本は、そんな「諦めない大人」の姿の尊さや、
教育の本質を教えてくれる素晴らしい本だと思う。

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