本の森024 新訳「君主論」マキャベリ 池田廉訳(中公文庫)

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君主論は、リーダーや経営者のバイブルだ。

君主論、マキャベリは、誤解されている。
マキャベリズムなどという言葉が先行してしまって、
君主論は暴君の教科書のように考えている人が多い。

でも、僕の見方は違う。
マキャベリは、本当に「いい国」「いい社会」を作りたかった。
だから、理想論や机上の空論、綺麗事ではない、
本当に実践的な教科書として、君主論を記したんじゃないかって、
僕は思っているわけです。

また別の本を紹介するときにも、
彼のリーダー論について書こうと思いますが、
今日は君主論の中から僕が好きな言葉を、
いくつか紹介しようと思う。

(以下、マキャベリ語録&森の解説)

◆人間はいかに生きるべきか、ばかりを論じて現実の人間の生きざまを直視しようとしない者は、現に所有するものを保持するどころか、すべてを失い破滅に向かうしかなくなる。
なぜなら、なにごとにつけても善を行おうとしか考えない者は、悪しき者の間にあって破滅せざるをえない場合が多いからである。

自分の身を保とうと思う君主(指導者)は、悪しき者であることを学ぶべきであり、しかもそれを必要に応じて使ったり使わなかったりする技術も、会得すべきなのである。(君主論)

「人間力より、振舞い力」って言う感じかな。

いい人になる必要などない。
いかに生きるべきかということを考えることよりも、
いかに魅せるべきかを考えなさい。
よい組織を作りそれを維持し続けるためには、
いかに演じるべきかを考えることが指導者(リーダー)
としての使命であることを自覚しなければならない、
と言うことをマキャベリは言っているのだと思う。

そして、「勝つことよりも、負けないこと」。
マキャベリは「負けない」ことにすごく拘ってる。
せっかく「いい国」を作ろうとしても、
負けてしまったらおしまい。ゲームオーバー。
だからこそ、負けないための知恵が必要だと、
彼は考えていたんじゃないかと思う。

善い人間、善い行動というものは、悪のパワーに負けてしまう。
悪に支配されないためには、指導者自身が悪を演じることを学び、
必要に応じて使いこなす技術を磨くべきだって、
マキャベリは言ってるわけです。

◆歴史に残る程の国家ならば必ず、どれほど立派な為政者に恵まれようとも、二つのことに基盤をおいたうえで種々の政策を実施したのであった。それは正義と力である。
正義は、国内に敵をつくらないために必要であり、力は、国外の敵から守るために必要であるからだ。

◆君主(指導者)は、それをしなければ国家の存亡にかかわるような場合は、それをすることによって受けるであろう悪評や汚名など、いっさい気にする必要はない。
なぜなら、たとえ一般には美徳のように見えることでも、それを行うことによって破滅につながる場合も多いからであり、また、一見すれば悪徳のように見えることでも、その結果はと見れば、共同体にとっての安全と繁栄につながる場合もあるからである。

マキャベリはよく、
「美徳よりも悪徳が必要な時がある」と言う。

会社の存続に関わるような場面においては、
悪評を怖れる必要などない。
美徳の実践よりも、企業の存続が、経営者にとって
最優先事項であることは当然だからである。
存続の先にこそ、美徳の価値があるって言ってる。

マキャベリは国家について言ってるけど、
「国家」を「企業」に置き換えても同じだよね。
マキャベリは、徹底的に、現実的であろうとする。

◆君主(指導者)たらんとする者は、種々の良き性質をすべて持ち合わせる必要はない。
しかし、持ち合せていると、人々に思わせることは必要である。
いや、はっきり言うと、実際に持ち合せていては有害なので、持ち合せていると思わせる方が有益なのである。
思いやりに満ちており、信義を重んじ、人間性にあふれ、公明正大で信心も厚いと、思わせる方が重要なのだ。
それでいて、もしもこのような徳を捨て去らねばならないような場合には、まったく反対のことでもできるような能力をそなえていなければならない。

これは、マキャベリに出会って、
僕が「なるほどー」って唸らされた考え方です。

「人徳を持つことよりも重要なことは、
人徳を持っていると思わせることである。」

これすごい!って僕は思ったわけです。

人徳にこだわると、
厳しい現実に直面した時の判断力が鈍ってしまう。
リーダーにとってもっとも重要な使命は、
人徳者になることではなく、会社の存続と繁栄である。
そのためには、思いやりに満ち、信義を重んじ、
人間性にあふれ、公明正大で信心も厚いと、
「思わせる」方が重要だって、マキャベリは言う。
部下がリーダーのことを「人徳者」だと感じているか、
感じさせているか?
その視点こそが、リーダーに必要不可欠な視点だと言う。

ここが、僕がマキャベリの一番好きなところだ。
ある意味、結果主義、成果主義だ。
何をゴールに決めるか?
どこをゴールにするのか?
なんのためにやるのか?
そこを考えたとき、「伝える」ことはゴールじゃない。
「伝わる」こと「感じさせること」こそがゴールだ。

◆君主たる者、新たに君主になった者はことさらだが、国を守りきるためには、徳をまっとうできるなどまれだということを、頭にたたきこんでおく必要がある。
国を守るためには、信義にはずれる行為でもやらねばならない場合もあるし、慈悲の心も捨てねばならないときもある。人間性をわきに寄せ、信心深さも忘れる必要に迫られる場合が多いものだ。
だからこそ、君主には、運命の風向きと事態の変化に応じて、それに適した対応の仕方が求められるのである。また、できれば良き徳からはずれないようにしながらも、必要とあれば、悪徳を行うことを避けてはならないのである。

リーダー(指導者)の隣には、常に「悪」が潜んでいる。
このことを忘れてはならないと、彼は言う。
いや、その通りだと思う。
一刀両断、超現実的だ。
光と闇、善と悪、まるでスターウォーズみたいだ。
でも、現実はやっぱりそう。
悪の力、暗黒界の力の方が強い。
欲望、金、名誉、名声、承認欲求。。。
権力が大きくなればなるほど、ダークサイドも拡大する。

だからこそ、マキャベリは言う。
リーダーたるもの、会社を守りきるためには、
徳をまっとうできるなどまれだということを、
頭にたたきこんでおく必要がある。
会社を守るためには、
信義にはずれる行為でもやらねばならない場合もあるし、
慈悲の心を捨てねばならないときもある。
人間性も信仰心も捨て去る必要に迫られる場面もある。
できれば良き徳からはずれないようにしながらも、
必要とあれば、悪徳を行うことを避けてはならないのである、と。

うーん、厳しいけど、さすがだ。
マキャベリは、誰よりも理想を願い続けた人だった。
だから、僕はもっと多くの人にマキャベリを知ってほしいと思う。

また、紹介したいと思います!

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