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「赦し(ゆるし)」を感じて、泣ける。

誰だって、僕だって、生きる価値がある。
そう感じさせてくれた本だった。

本の森032 海と毒薬
この本を読んだ後に読むことをお勧めしたい。

続編とまで言えないかもしれないけれど、
でも2冊続けて読むと、涙が止まらない。

自分の弱さや情けなさ、哀しさと痛いほど
向き合わせられた。
読んでいて、悲しくなってきたけど、
最後の最後に「赦し」がやってくる。

遠藤は人間の弱さを描き続けた。
自分の弱さと向き合い続けたのかもしれない。
遠藤の作品は、きつい。
きついけど、たまらなく優しい。

解説に、次のような下りがある。

ガストンに向かって勝呂が次のようにいう場面がある。
多分これらのせりふの中に、作者、遠藤周作の
もっともいいたいことが凝縮しているのだと思う。

「仕方ないさ。人間はそう、できているんだ。
人間なんて不倖せになるために、この世に
生まれてきたもんだ」

「あんたは、人を助けるのが好きらしいが、
人間が他人を助けるって、そう簡単に
できるもんじゃない」

「だから、助けるのはいいが、諦めることも
大切なのさ」

(「悲しみの歌」解説(遠丸立)より引用)

僕は遠藤の作品を読むたびに、
作家遠藤周作という人間の優しさに心を打たれる。
遠藤周作は、本当に優しかったと感じる。

ほんとうの優しさというものは
絶望をくぐってきた人だけにそなわるものだと、
灰谷健次郎は言った。

彼は、教師として、教育を志す者として、
自分の弱さ、人間の哀しさと向き合い、
絶望を経験し続けた。

遠藤周作という人間は、書くことを通じて、
絶望をくぐり続けた作家だったのかもしれない。
信仰とともに生き、聖者としてではなく、
人間として生きることに絶望し、それでもそこに、
希望を見出そうとする遠藤の生き様に、
心から敬意を示したいと思う。

何度読んでも、泣ける作品だと思う。

悲しみの歌 (新潮文庫)

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