映画も面白い。
でも、原作はさらに面白く、そして深い。
僕たち自身の生き方や、考え方、
社会との関わり方を学べることはもちろんだけど、
注目すべきは、主人公ナウシカの、リーダーとしての振舞い。
2003年に出版された本だけど、
今の時代にこそ読まれるべき、リーダー論だと思う。
人を動かすリーダー術というよりも、
人が動かされる、リーダー術。
生き様、振舞い方、言葉、彼女の一挙手一投足に、
多いなる学びがあると感じた。
2017年、糸井重里氏が、代表取締役を務める会社
「ほぼ日」を株式上場させる時に発した言葉を
紹介しよう。
利益をたくさん出せればうれしいが、
それが第一の目標になるとずれていくと思う。
最短かつ最効率で利益を得る会社が、
人に喜ばれるとは思えない。
糸井氏は、次のようにも語る。
僕は、自分の利益を優先する資本主義の代わりに
なるものとして、自分を殺してでも人を生かすという
利他性がキーワードになるのかなと思っています。
「昔はよかった」というように利他性は
資本主義と対立させて考えられがちですが、
そうではなくて、混じっているのだと思います。
つまり、「自分がどれだけ利益を得られるか」を
考えることを休ませる知性が求められている、と。
利便性や経済合理性を最優先にする社会の辿り着く場所、
そこにはどのような未来が待っているのだろうか?
「すぐ役に立つことは、すぐ役に立たなくなる」
これは慶応義塾の塾長だった小泉信三さんの言葉です。
即時的、即物的な時間の流れを生きてしまっていると、
自分の心身もすり減っていくし、自分が関わる他者をも
すり減らしていっていることに気づけない。
そして、そんな自分の思考や行動が、ひいては世界をも
すり減らし、摩耗させていっているのかもしれない。
この本はそんな、とても大切なことに気づかせてくれた。
社長、リーダー、教育者をはじめ、
一人でも多くの人に読んで欲しいと思える一冊だと思う。