この本の主人公が魅せられたのは、
ピアノの調律師、板鳥さん。
17歳の時だった。
僕の場合は、小学校の先生。
5、6年生の時の担任、藤田先生。
魅せられる、打たれるという経験は、
他にもあった。
中学2年生の時に出会った小説家、
村上春樹。
大学1年生の時に出会った演出家、
つかこうへい。
20歳の時に出会った脚本家、
平田オリザ。
29歳の時に出会った経営者、
西山知義。
数え上げればきりがないくらい、
僕は人生の中で数多くの人に
魅せられてきた。
そして今も、たくさんの人たちに
魅せられ続けている。
小説の主人公や、仕事で出会った
社長や社員たち。
一人一人の生きてきた物語に出会い、
そのドラマに触れれば触れるほど、
一人の人間の生き様に魅せられてしま
う。
様々な人に魅せられて、僕はここにいる。
そしてまた、多くの人に魅せられて、
どこかへ運ばれていく。
魅せられることは、運ばれること。
そう、人生の移動手段といってもいい。
人は、魅せられて、運ばれる。
ここではない、どこかへ。
新たなる場所、新しいステージへ。
だから、魅せられることは、楽しい。
この小説は、そんな「魅せられる」
魅力を持った登場人物であふれている。
主人公は一人かもしれないけれど、
ここに登場する誰もが主役だと思える。
他の誰かを軸にした物語であっても、
きっと魅力的なストーリーになるだろう。
誰もがドラマを持って生きている。
改めて、そう感じさせてくれる小説だった。
追伸
最近、3冊続けて本屋大賞受賞作を読んで
みたら、結構ハマってしまった♪