本の森021 楽園のカンヴァス 原田マハ(新潮文庫)

この本を読んだら、誰もが美術の世界にハマってしまうでしょう。

小説は、世界を旅させてくれる。

行ったことのない土地、
出会ったことのない人たち、
そして、知らなかった世界へと、
僕たちを連れて行ってくれる。

原田マハの小説「楽園のカンヴァス」は、
僕を美術の世界への旅に連れて行ってくれた。

僕は、大学で芸術学を学んでいながら、
頭でっかちな、机上の空論を論じて、
美術作品を素直に純粋に見る眼を、
失ってしまっていたのかもしれないと、
そう感じさせられた小説だった。

物事を純粋に見る眼、感覚は、
知識や経験が増えるほど曇っていく。
訳知り顔で、知識人ぶって語る言葉は、
人の心を打つことはない。

純粋に自分の中に生じた素直な感情を、
偽ったり飾ったりすることなく、
正直に言葉にすることの大切さ、
自分の言葉で語ろうとする真摯な姿勢、
それこそが、人の気持ちを動かす。

素晴らしい作品と向き合うということは、
おそらく神と向き合うことと似ている。
あるいは、自分自身と向き合うことと似ている。

あー、美術館に行きたい。
アンリ・ルソーの、パブロ・ピカソの作品を、
じっと見つめてみたい。

生まれて初めて、純粋に、
ただただ「絵」を見つめてみたいと思った。

僕はおそらく、
これから「絵」の世界にハマってしまうだろう。

新しい世界へ連れて行ってくれて、ありがとうと、
いつか作者に言いたいと思った。

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