二人の子供に100回以上読み聞かせをしました(笑)
オオカミのガブと、ヤギのメイ。
この二人の織り成す友情の壮絶さ。
子供に読み聞かせながら、僕たち大人こそが感動し、
大人としての自分自身と向き合わせられる。
僕はガブで、僕の中にいる「良心」がメイだ。
僕はダメな人間で、でも心の中にはいつも良心がいる。
現実は最悪。
でも、心は誠実。
いつもは、そんなことは幻想で、
現実なんてどうしようもなく失望してばかりいる僕だけど、
でも、この本を読んでいると、いや、子供に読み聞かせながら
音読していると、自分自身の声が、自分に問いかけ、
自分に語りかけてくる。
「お前はガブで、お前はメイだ」って。
だからかな。
何度も読み聞かせしてしまう。
子供に聞く前に、自分が、
「あらしのよるに、読もうか」
と、強要してしまう(笑)
自分の、いや、人間の弱さと強さ。
その両方と向き合わせてくれて、
それでいて、何回読んでも、ハラハラドキドキさせてくれる。
黙読したことは一度もない。
だって、読んで聞かせたいから。
声に出してオオカミのガブを、やぎのメイを、
演じてみたいから。
そう、演じてみせることで、
子供に演技を魅せることで、
自分を見つめてみたいと思ってしまうから。
僕は、偉そうに言える立場じゃないけど、
一つだけ、僕の哲学がある。
それは、
「学びとは、自分を知ること」
ということだ。
話は大きくそれてしまうけど、僕は寅さんが大好きだ。
寅さんとは、山田洋次監督作品「男はつらいよ」の主人公、
故渥美清が演じる、車寅次郎のことだ。
ご縁があって、僕は「寅さん会」なるものにも参加している♪
(寅さんくらぶ)
その作品の中に、こんなシーンがある。
ちなみに後述する「満男」とは、寅さんの最愛の妹「さくら」の息子だ。
まずは、そのシーンを垣間見てもらいたい。
満男 「じゃ、何のために勉強するのかな?」
寅 「え、そういう難しい事は聞くなって言ったろう。つまり、あれだよ、ほら、人間長い間生きてりゃいろんな事にぶつかるだろう。な、そんな時、俺みてえに勉強してない奴は、この振ったサイコロの出た目で決めるとか、その時の気分で決めるよりしょうがないな。ところが、勉強した奴は自分の頭で、きちんと筋道を立てて、はて、こういう時はどうしたらいいかな、と考える事が出来るんだ。だからみんな大学行くんじゃないか、そうだろう。」
第40作 「男はつらいよ 寅次郎サラダ記念日」
1988年12月公開
マドンナ:三田佳子 (女医 真知子)
ロ ケ 地:長野県(小諸市、松本市)、長崎県(島原市)
そう、「学ぶ」とは、自分自身を知ること。
山田洋次監督は、寅さんというフーテンを通じてさえも、
「学ぶ」とは自分自身を知ることなのだと
教えたかったのだろうと思う。
だからと言って、いきなり難しい哲学書や、
「学ぶとは何か?」
というような教育書を読んだところで、
眠くなってしまうのがオチだよね。
僕だって、そんな野暮なことは言わない。
だからこそ、だ。
この「あらしのよるに」をオススメするわけです。
この本は、読めば読むほど、
そして声に出して読めば読むほど、
自分と向き合わせてくれる本なんだ。
絵本だから、ましてやメジャーな絵本だからと言って、
侮ってはいけないよ。
この本は、最高だ。
最高に感動し、ドキドキハラハラし、そして哲学できる。
そんな本なんだから。
ぜひ、読んでみて欲しいと思う。